SHINee も! BTS から Red Velvet まで、2018年 K-POP の Bサイド名曲18選『MTV』181227
こんばんは!
今日は珍しく MTV (はい、あの有名な米国MTVです!)の「2018年ベスト特集」記事を和訳します。今回ご紹介する記事は K-pop の Bサイド(B面)名曲選という渋い切り口。しかも18曲中、SHINee からはなんと、グループ、キーくん、ジョンくんの計3曲が選出されています! さて、どの曲でしょう?
※まえがきと、SHINee作品、それに個人的に気になる項目だけ和訳します。すみません!
BTS から Red Velvet まで、2018年 K-POP のBサイド名曲18選
"Paradise" に正義を!
クリスタル・ベル 『MTVニュース』12/27/2018
K-pop の世界は、きっと世間とは時間の流れる速さが違うのだろう。そうでなければ、説明がつかないことが多すぎる。たとえば、世界で一番多忙で有名な韓国人アーティスト BTS は、たった12ヶ月のあいだに、2枚のアルバム(Love Yourself: Tear と Love Yourself: Answer)と彼ら3枚目となる日本語版スタジオアルバム Face Yourself も出したうえに、2本のミックステープ(J-Hope Hope World と RM mono)に、グループ初となる全編英語トラックをスティーヴ・アオキとリリースし(“Waste It On Me”)、さらにチケット完売ワールド・ツアーを行いながら、何本もミュージック・ビデオを撮影して、そのうえ、強烈なディス・トラック[敵対的な人物をディスったラップ曲]とリミックス曲を SoundCloud にドロップしたのだから。
そうでなければ、力が抜けた素晴らしいフロウで知られる韓国系カナダ人ラッパー、マーク・リーが、今年 Neo-Culture Technology (NCT) の様々なユニットとともに、立て続けに9回のカムバック(ニューリリース)に参加できたはずがない。NCTの19歳は NCT127、NCT Dream、NCT U、NCT 2018 のメンバーとして活躍しつづけたのだった。
NCT一番の働き者マーク・リー
K-pop の世界ではすべてが凄まじい速さで回っている。そして、次のリリース ――しかも独自のコンセプト(もしくはヴィジュアル的テーマ)とアルバム構成をばっちり備えたもの―― はすぐ目と鼻の先に控えている。だからこそ、作品に隠された本当の宝石を見落とすのはあまりにもたやすい。なにしろ、リード・シングルだけが、きちんとしたプロモーションを受けられる曲だったりするのだから。米国で K-pop が存在感を増し、信用を勝ち得た結果、2018年は K-pop にとってブレイクスルーの年になったということはよく言われているが(そしてそれはもちろん真実なのだけれど!)それでも私は今年が韓国音楽にとって素晴らしい年でもあったということを、ここではっきり言っておきたいのだ。
EXO はポップの結晶が詰め込まれた多層的なアルバム Don’t Mess Up My Tempo で華々しいカムバックを遂げ、SHINee はお得意の生き生きした美学と折衷的なサウンドを見事に表現した、プリズムのような三部作 The Story of Light をリリースした。一方、Red Velvet は The Perfect Red Velvet で型にはまらない魅力を大胆に押し出し、ソンミは人間的感情の複雑さをムーディーな Warning で探索してみせた。NCT 127 もまた、初フルアルバム Regular-Irregular で業界のお約束を破りつづけている。
というわけで、2018年の K-pop ベストBサイド曲を通じて、見落とされがちな作品の魅力を探ってみよう。(順不同)
[訳注 原文では Spotify にリンクが貼られていますが、日本では YouTube/iTunes のほうが使い勝手が良さそうなので、そちらにリンクしますね]
1. “All Day All Night” SHINee
[SHINee - All Day All Night] Comeback Stage | M COUNTDOWN 180531 EP.572
SHINee といえば、過去十年にわたって純粋なポップとリズミカルなダンスミュージックを見事に融合させてきたグループだから、彼らの The Story of Light 三部作の第一作 Episode 1 が、この爆発的なフューチャーベースの名曲から始まるのも驚きではない。この曲はちょうど新しい一日の夜明けを告げるかのように、鳥のさえずり、耳に優しいコード、オニュとテミンによる魅力的な声のリフで幕を上げる。そして、ドラマティックなサビが爆発すると、オーマイゴッド、天にも昇る心地だ。
2. "Paradise" BTS
英国のソングライターMNEKがトラディショナルな R&B 感性を注ぎ込んだ “Paradise” は、そのキャッチーでメロディアスなフックをとっても、歌詞の重要なメッセージ性をとっても、2018年に BTS が制作した楽曲のなかで真にきわだつ作品だといえる。このトラックで語られるのは BTS 作品にはおなじみの “自分ではない誰かの夢を追いかけて生きていく必要なんかない” というテーマだ。ジンはサビでこう歌う。「夢なんて、なくたっていいんだよ。少しでも幸せを感じる瞬間がありさえすれば」 この曲は立ち止まって人生のシンプルな悦びを噛みしめる大切さをやさしく思い出させてくれる。そして、音楽としても最高だ。
3. "Gravity" EXO (略)
4. "Good Good” KEY
뮤직뱅크 Music Bank - Good Good - 키(KEY) .20181130
SHINee のメンバーであるキーは多才なパフォーマーとして長い経歴をもち、歌手、ラッパー、ダンサー、ヴィジュアル・アーティストとして、そして、もちろん折り紙つきの個性的なキャラクターでもよく知られている。だが、ソロデビュー作 Face を聞くと、このポップ・カメレオンがまだまだ秘技をいくつか隠し持っていることがわかる。キーのようなアーティストの作品として予想しやすい曲が、ズンズン響くダンス・ビートと中毒性のあるサビが特徴的な “Chemicals” だとしたら、“Good Good” は大胆な一手と言えるだろう。この楽曲は音の面からいうとありとあらゆるジャンルが少しずつミックスされたものだが、ひとたびサビが始まれば、キーボードシンセと重たいベース・リフの錬金術的融合のうえにキーのファルセットが高らかに響き、もはや、ポップスターの魔法そのものとしかいえない。
5. “Come Back” NCT 127
[Comeback Stage] NCT 127 - Come Back , 엔시티 127 - 악몽 Show Music core 20181013
本来ならシングルになるはずのB面曲 “Come Back” には、K-pop ヒット曲に必要な要素がぜんぶ入っている。華やかだが、けばけばしくはない曲。キャッチーで、一度聞いたら弾むようなサビをすぐ歌えるようになる曲。それから、素晴らしいボーカルが引っ張っるアップビートのノリが良い曲。なんだかんだいって、これは SM エンターテイメントが SHINee や EXO のようなグループで何年も磨き上げてきたフォーマットなのだ。たぶん、だからこそ NCT 127 はこの曲ではなく、あえてテヨンとマークの限界知らずのラップ技が輝くラテン・トラップ系の "Regular” をリード・シングルにしたのだろう。ソウルを本拠地にする NCT 127 は NCT のなかでも型破りそのもののサブグループだが、ただ良質のポップソングを聞きたいときだってあるのが人間というものだ。おそらくSMもそれを知っていて “Regular” 活動期間中にこの曲の印象的なライブステージ版[上の動画]を準備させたのだろう。
6. “All Right” Red Velvet(略)
7. “Grease” JONGHYUN
ジョンヒョンのきわだつ作家性と音楽性をひとつの楽曲で要約するのは不可能だが、“Grease” はいちばんそれに近い曲かもしれない。昨年(2017年)末の急逝後、今年1月に発表された2作目のソロ・アルバム Poet | Artist に収録されたこの曲は、SHINeeのヴォーカリストであるジョンヒョンのスムーズで柔らかいレガート[伸びやかな声]と、しなやかに揺れつづけるリズムを融合した、矛盾のある作りが神がかっている。ジョンヒョンが作曲編曲したこの曲は、油染み(grease)のようにしつこく離れない昔の恋人を描く。「きれいにしたいんだ(clean it up)/元通りに直したいんだ(fix it up)/なかったことにしてくれ」と前サビで歌ったあと、ジョンヒョンの声はブリッジ部分で数オクターブも飛び上がる。そうやってリスナーを引きずり回すときにも、ジョンヒョンはその経験を美しいものに変えてしまうのだ。
8. “Addict” SUNMI(略)
9. “Drippin” NCT DREAM(略)
10. “Twilight” ATEEZ (略)
11. “When It Rains In Night” PENTAGON(略)
12. “Moonwalker” SEVENTEEN(略)
13. “Myself” MONSTA X(略)
14. “CHILLAX” TWICE(略)
15. “Dear Sun” Jung Jin Woo feat. SOMA(略)
16. “Vroom Vroom” EXO-CBX (略)
17. “Rude Boy” Mamamoo(略/ iTunesなし)
18. “everythingoes” RM
RM の7曲入りプレイリスト mono は疲れ切った魂を暖かく包む毛布のような作品。このプレイリストで BTS のリーダー兼メインラッパーは弱く脆いところを見せ、“Tokyo” や “Seoul”(エレクトロニック・デュオHonneによるプロデュース作品)といったトラックでは深い不安感をさらけ出す。そこには憂いと疲れが半々に入り混じり、孤独感というテーマが一貫して表現されている。だが、そのムードは韓国人アーティスト Nell とのコラボ作品 “everythingoes” で破られ、人間の魂にそなわった、立ち直る力が強調される。「それもいつかは過ぎ去るだろう。きっと。かならず」と RM は柔らかな声で歌う。そのリフレインは子守唄のように響き、人生のあらゆるものが ――あなたがいま感じている痛みすらも―― 一時的なものだということを力強く思い出させてくれる。■
+++++++++++以上++++++++++++
いかがでしたでしょうか。このライターさん、褒め方がうまいですよね。おすすめしている曲が大好きなことが伝わってくる、良い記事だと思います。
個人的には SHINee の曲をたくさん挙げてくれたのと、BTS "Paradise" を評価してくれてるのがすごく嬉しかったです。わたくし、シャヲルですが BTS の "Paradise" がほんっとに好きでして。
もっと言うと、"Paradise" の作曲家 MNEK[エムエヌイーケー]も好き。
=====ここから完全に脱線しますので読み飛ばして下さい(笑)=====
MNEK はビヨンセやマドンナ、Diplo、デュア・リパなど錚々たる歌手に曲を提供している英国人シンガーソングライター。それから、このMVをちょっと見ていただければわかるようにアフリカ系、かつ "オープンリー・ゲイ"(ゲイを公言している方)です。
ヘイリー・スタインフェルドをフィーチャーしたこの曲 "Colour" (2018) のサビは「あなたに出会う前はすべてが白黒だったけど、いま目に映るのはカラー。空の虹みたいに」という歌詞。恋をすると世界がカラフルになるという発想自体はよくあるパターン(SHINeeの "Colorful"もそう)なんですが、それが「虹(rainbow)みたい」とくれば、もちろん LGBTQ+ ひねりが入ったポジティブなメッセージ。
てか、このMNEK さん、かわいすぎません? 共演してるヘイリーちゃんも無駄に性的対象にされてなくて、ひたすらかわいくて、なんだか気が楽になるし元気も出てくるんですよね。
彼が書いた曲を少しずつ視聴できるプレイリストはこちら。
※ちなみに、ブラック(アフリカ系)&ブラウン(褐色肌全般)の LGBTQ+ アーティストがたくさん活躍したのが2018年音楽シーンの特徴でもありました。
Why 2018 Was a Transformative, Groundbreaking Year for QTPOC Creators - MTV
※QTPOC=Queer and Trans People Of Color
今日の記事にもあったように、MNEKは R&B の歴史を深く理解していることが伺われるソングライターで、"Colour" にしても、少し聞いただけで2000年代男女デュエットの超名曲 Rihanna ft. Ne-Yo "Hate That I Love You" (2009) ぽいフレーズがちょいちょい入っていることがわかります。※セクシーリアーナさんに注意。
ただ、曲の仕立てとして彼のもうひとつのルーツ、英国クラブ・ミュージックが入ってくるのが MNEK の個性なんですよね。そんなわけで BTS のB面曲 "Paradise" も欧米の音楽ファンにとってはふつうに極上の音楽だったりするんです。 あぁ、鬱陶しくてすみません。
=========脱線おわり=========
LGBTQ+ の話が出たので、SHINeeに戻って(笑)こちらのテミン特集にも触れさせてください。
これ、ジェンダー・ニュートラル特集(雑誌右上の黄色の文字)だったんですね〜。それでテムちゃんの表紙グラビア&インタビュー。おぉ。
わたしは英訳で読んだのですが、カムバックについても語っていておもしろい記事でした[和訳はこちらにありました]。ほかの人が簡単にはコピーできないような、自分にしかできないものをやりたい、と。前作 MOVE の性差を飛び越える振り付けもまさにそうだったと思うんですが、また新しいことを考えているんですね! 楽しみ♡
それから個人的には、韓国で作る音楽と日本向け音楽の違いについて語ってくれた部分もおもしろかったです。韓国盤で作るのは世界標準に合わせたポップ、日本盤ではアジア向けの音楽(というか J-pop?)というように、マーケットを意識してテイストも変えている。きっと優秀なソングライティング・チームのみなさんが研究して作っているんでしょうね……。
実は最近読んだこの本に、K-pop は米国ブラック・ミュージック(R&Bやヒップホップ)と日本のアイドル文化(ジャニーズ等)を融合しながら発展してきた、という分かりやすい解説があったんですが、テミンのインタビューを読んでまたなるほどと腑に落ちる部分がありました。
最後にGrazia Korea 公式インスタから美しいシューティング動画を。
やっぱり動いているととっても素敵なテミンさん。カムバックが待ち遠しいです♡
この動いてるテムちゃんも大好き♡ SHINeeのカラフル5レンジャー時代って、色の割り当てが的確で素晴らしいですよね。
ではでは、みなさん、おやすみなさい〜〜!
*追記
いま、オニュさんが軍のミュージカルに出演するというニュースが飛び込んできました。びっくり! しかも、2/27-4/21ってけっこう長いですね。好きな歌ができるなら何よりだ〜♡(情報はこちらから)
*追記2
キーくんが軍楽隊に合格し、3/4に入隊が決まったそうです(こちらに情報あります)。軍にとってもキーくんは逸材だし、あんなリーク情報が出た以上は(笑)絶対受かると信じて祈っていましたが、決まって良かったです〜(涙