キツネをめぐる冒険

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独立独歩の人、キム・ジョンヒョンは唯一無二の K-POP アイドル【前編】『i-D(USA)』160621

こんにちは。新米シャヲルにとっては初めて迎える4月8日。SNS がジョンくんの誕生日を祝うメッセージであふれていて、優しい気持ちに包まれました。北米時間だとまだ4月8日。ちょっと長めにこの日を味わっています。

この日のうちに愛しいジョンくんのインタビュー記事和訳を載せますね。

実は「좋아(She Is)」期の英文記事はこれがほとんど唯一です。でも、このライターさんって、ちょっと根性のある方で、突っ込んだ質問をぽんぽん投げていて、ジョンくんの方も嫌がらず丁寧に答えてくれてるのが面白いんです。

ちょっと長いので、今回は前半。前置きの部分と「좋아(She Is)」全体のコンセプトについて語った部分をどうぞ。前置きが長いので、急ぐ方はブルーの写真以下インタビュー部分へ飛んで下さい♡

 

 ※[ ]内は訳注です。

 

独立独歩の人、キム・ジョンヒョンは唯一無二の K-POP アイドル【前編】

テイラー・グラスビー『i-D(USA)』6/21/2016

 

数百万枚の売上を誇る K-POP スーパー・グループ SHINee のメイン・ヴォーカリスト、キム・ジョンヒョン。その彼が、初ソロ・アルバムをリリースするにあたって、SHINee のこと、作曲や特筆すべきトラックについて、第一線で活躍しつづける秘訣について語ってくれた。 

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この1ヶ月というもの、26歳のキム・ジョンヒョンはキャンディ・ピンク色の髪をなびかせながら、ステージに立ち、ファンに会い、高視聴率TV番組に出演するという、つむじ風のような日々を過ごしてきた(出演した番組には「追っかけファン」へのあからさまな当てつけを描いた韓国版サタデー・ナイト・ライブのコントもあった)。ジョンヒョンはマルチ・ミリオンを売り上げた K-POP スーパー・グループ SHINee のメイン・ヴォーカリストという立場を少し離れて、自身初となるソロ・フルアルバムのプロモーション活動をしている最中だ。80年代ファンクポップやトロピカル・ハウス、EDM、オルタナティブ R&B の影響を受けたこのアルバムは、ジョンヒョンならではのヴォーカル色や多才さを際立たせるものになっている。

このアルバムが今年度のベスト作品に含まれることは[記事の出た6月の時点で]すでに決定事項といっていいだろう。このアルバムには成熟(素晴らしく官能的なトラック “Moon” はその一例)も、ダンスフロアを熱狂させられる遊び心(“White T-shirt”)も両方感じられるのに、驚くほどしっかりしたまとまりがある。ジョンヒョンのソロ作品が新たな音楽的風景を切り拓くのは今回が初めてではない。2015年のEP BASE が “Crazy” や “Deja-Boo” といったシングルで成功を収めた一方で、「小品集 Story Op. 1」と題されたプロジェクト(レギュラーDJを務めるラジオ番組「青い夜」にリスナーが寄せた物語をもとにして書かれたもの)はプロモーション活動がなかったにもかかわらず、いつのまにかトップ30にランクインしていた。

いまや K-POP 界のベテランになったジョンヒョンは、15歳のとき高校でバンド演奏しているところをスカウトされ、韓国最大の音楽会社 SM エンターテイメントのもと厳しいヴォーカルやダンスの訓練を積まされた。2008年、18歳になって間もなく、SHINee の一員としてデビュー。R&B ポップ曲 “Replay” を緊張した様子で披露した初舞台から、SHINeeK-POP 界でももっとも息が長い、しかも音楽的には実験的なグループへと成長をとげた。そのサウンドは長年のあいだに、ド派手な重厚シンセ曲(Lucifer)からダブステップEverybody)、キラキラしたポップソング(Hello)、UKハウス(View)へと、さまざまなジャンルを行き来してきた。

大半の K-POP アイドルとは違って(といっても、この傾向も最近は変わってきているが)ジョンヒョンは SHINee 作品の制作に関わっており、しかも、それは歌詞を書き始めた2009年にまでさかのぼる。そして、単なるパフォーマー以上の存在になるというジョンヒョンの覚悟は、たしかな成果も生んできた。過去2年のあいだに、ジョンヒョンはソングライターとしての才能を完全に開花させ、その作品は自分や SHINee の曲だけでなく、YGエンターテイメントのイ・ハイ(2つの巨大事務所のあいだでクロスオーバーが起こった史上初めての作品になった)や SHINee の仲間テミンのソロ作品、レーベルメイト EXO のアルバム Exodus のなかでも抜きん出たトラック “Playboy” にまで及んでいる。

だが、ジョンヒョン本人は成長しつづけるソングライティングの才能については多くを語ろうとせず、制作に没頭するほうを好んでいる。「音楽について手を休めたことはまったくないんです。[直近の4ヶ月にわたった]SHINee 日本ツアーの直後も忙しく働いていました」と本人も認めている。SMTown Live 世界ツアーと米国での SHINee 公演に旅立つ直前、ジョンヒョンは 『i-D』とのインタビューに応じ、みずからのアーティスト性について、それから、なぜ最近、音楽で納得させたい人物が自分以外に存在しないかを語ってくれた。

 

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ほかのソロ作品と並べてみたとき「좋아(She Is)」 はどんなふうに分類できますか。創作にあたって難しかったことを比べてみると、どんなことが言えますか。

「좋아」は BASE の延長線上にあると思います。とてもはっきりした特徴をもったアルバムなんですが、同時に、ジャンルとしてはダンサブルな音楽が中心になっています。「小品集 Stories Op.1」 の方はもっとアコースティックな感情が入ったアルバムですね。制作するうえで難しかったほうは……うーん……「좋아」のほうが複雑な気がしますね。このアルバムでは、自分の話をする代わりに、あるキャラクターを作り上げて、この人物が冒頭から全9曲を歌っているところを想像したんです。もちろんこのキャラクターには僕自身が反映されているところもあるかもしれません。愉快で魅力的な若い男性で、ときどきいたずらもするような、そんな人物をアルバム制作中に頭の中で作り上げたんです。このアルバムを作ることはこの人物を演じることでもあったので、「小品集」とはまったく違った方向性をもっているといえますね。

 

 

このアルバムでは恋に落ちる、素敵な女の子に出会う、そして親密になる……そういったことについて歌った曲が多いんですが、これは最近ジョンヒョンさんご本人が経験したことですか。それともこの創作された人物(ペルソナ)の身に起こったこと?

自分の過去の経験をもとにした部分もありますが、ほとんどはまわりを観察したものです。たとえば “RED” は交通信号を観察して書いたものですし、 “MOON” はある明晰夢[※意識が残ったまま見る、はっきりした夢]の物語から、 “Dress Up” は何を着たらいいかというふだんの会話から、 “Cocktail” は友達とお酒を飲んでるとき……アイディアは日常生活のあらゆるところから来ています。

 

 

新しくまとまった作品を作るときに、自分について新たな発見があったりしますか。「좋아」を制作することで新しい洞察を得たとしたら何でしょうか。

僕は他の人が自分の音楽についてどう考えるか、あまり気にしない人間なんだと気づいたんです。このアルバムを制作しながら良い時間が過ごせたし、制作も楽しかったので、リスナーのみなさんにも楽しんでいただけたらとは思っています。でも、もしそうでなくても気にしません。だって自分の好きなものを本当に作れたし、自分の音楽のまんなかに表現しておきたいことも表現できたんです。それに、大衆に迎合する代わりに、そういったもの[自分の目指すもの]を中心に置いてアルバムを作れましたから。□

[後編につづく]

 

 

記事・写真出典 i-d.vice.com

++++++++++++以上+++++++++++

 

 いかがですか? まだインタビューが始まってほんの少しなんですけど、ちょっと照れくさそうに、でも嬉しそうに話してる様子が思い浮かびませんか? 

「좋아(She Is)」がジョンくんの本当に作りたかった音楽だと分かっただけで、わたし、すごく幸せな気持ちになりました。

 

 

個人的にずっと思っていたことをひとつだけ。

「좋아(She Is)」は楽曲もヴィジュアル面も丁寧に作り込まれてることが分かるアルバムで、 やってることはすごく複雑なのにスッキリしてるし、完成度が高いかと思ったら遊んでるところもあって、憎いくらい素晴らしいアルバムじゃないですか。なのに、なぜか『ビルボード』に一本も記事が出てない、という不満がずっとあったんです。何なんですかね(←けっこうくすぶっていますw)

そんななか、この記事が載った『i-D』はアメリカのカルチャー誌のなかでもエッジが立ったほうの雑誌で、悪く言えばマイナー。でも、読んでいただければわかりますが、記事は真っ当なんです。ライターさん(※このブログではおなじみのテイラーさん)の熱量が高めなのもすごく良くて、逆にこれでよかったのかもって思ったりしています。
だってビルボードだったら当たり障りのない記事になりがちだし(小声)

 

余談になりますが、この雑誌『i-D』では、最近も、ゲイであることを公表している K-POP アーティスト Holland が少年のころジョンくんの歌に救われたことを明かしていて、隠れた水脈を掘り起こしてくれる感ハンパないんです。これ ↓

―どんな個人的経験がきっかけでK-POPエンターテイメント界に入りたいと思ったんですか?

ホランド さいころ SHINee を見ていて、ジョンヒョンさんの歌が聞く人をなぐさめて癒やしてくれるのを見て、ずっとミュージシャンになりたいと思っていたんです。ありがたいことに、ぼくが一番つらいときにもなぐさめてくれるアーティストがたくさんいました。だから自分もそんなふうに素晴らしいアーティストになってみたいと夢見たんです。[引用元

韓国のLGBTQをめぐる状況は日本よりもかなり厳しいという評価がOECDから出ています。[参考]「同性愛を正当化できるか」 OECD5.1点・日本4.8点・韓国2点 | Joongang Ilbo | 中央日報

 

ホランドは1996年生まれだから、きっと10代の一番多感なころ、ジョンくんに支えてもらってたんですよね。ジョンくんがいてくれてよかった。 

ジョンくんのスピリットがこんなふうにつながっていくことを確認できた幸せ。そんな2019年4月8日。

 

 

 

さぁお誕生日なので、センイル チュカへ 聞きましょう。今年は特別、ソダムさんの歌が聞けましたね。

★ソダムさん版 "Happy Birthday" @ピチナ財団YouTube 190408

優しくてチャーミングなソダム姉さんの声。子守唄みたいで癒やされます。SHINeeメンバーが愛用品を寄付してくれたオークションもどうか成功しますように。

 

こちらは数日前にピチナ財団インスタに上がった練習中のソダムさんの様子。出だしまちがえたっ(汗)ってとこがほんと可愛くて♡ 

当たり前ですけど、プロデューサーさんも手伝ってくれたんだなと思うと、ジョンくんがみんなに愛されてることを感じますよね。 

 

ちなみに、早速ソダムさんとジョンくんの声をマッシュアップしてくれた方がいて、なんとデュエットでも聞けちゃいます (இдஇ; ) 


ソダム姉さんは途中で歌詞を変えてるので一部ズレがあります。⇒ソダムさん版歌詞

 

 

 

★最後に大好きなジョンくんをひとつ貼らせて下さい。かっこいいステージもたくさんあるけれど、こういうさりげない瞬間に人柄が出ると思うんです。 

[訳][「青い夜」で]ファンにさよならも言って、スタジオを出ようとしていたジョンD。女性スタッフさんたちが三段ケーキを箱に入れるのに苦労してると気づいて[心配そうに]立ち止まり、運んであげた。しかもニコニコしながら。素晴らしい紳士 💙

この主さんは「紳士」って書いてらっしゃいますが、わたしには、お母さんやお姉ちゃんを気遣って手伝いながら育った小さな男の子の姿が見える気がします。

 

 

ジョンくん、お誕生日おめでとう。生まれてくれてありがとう。

素晴らしい音楽と優しい気持ちをたくさんありがとう。

 

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出典 cookey-jar


 

※次回はこのインタビューの続きをお送りします。

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